それゆけ!アイドル農家みなと組

アイドル農家みなと組。広島県尾道市に浮かぶ向島で農業、アーモンドを育てています。そんな尾道出身三人組が国民的アイドル農家になるまでの記録。

天下一品のヒ・ミ・ツ

最近、家は家から半径10メートル以内をも含む事に気付きました。

最後は自らの足で玄関をくぐらない限りは家の中には入れません。

車もタクシーも自転車も室内まで入れません、全部室外止まりです。

 

しかし、家の中に入らなかろうと家が見えると帰ってきた気分になります。

じゃあ、そこで寝たらいいんじゃないかなと。思うわけですね。

いっそのこと青天井見つめてゴロンといったら気持ちいいんじゃないかと。感じたわけですね。

昼は青空太陽燦々、夜は満点星空虫の音。極上ですね。

 

それで寝転んでみたんですね砂利の上に。そうすると石の硬さが背中を刺激してきて、マッサージが如く気持ち良い。自分で体勢を変えて刺激の欲しい箇所にグリリンと。

 

これはいいやとなって、星空の下で1人唸りながらゴロロンゴロロンしてると、気づいたら朝だったんですね。太陽が出てまして、上品な虫の音から蝉の鳴き声に変わっていました。

 

お、こりゃ暑いや、汗かくやとなって。起き上がると身体中痛かったんですよね。主に背中がね赤くなってましたね。

この事から僕は砂利の上では寝るもんじゃないなと実感する事ができました。

 

話は変わって、「身の丈にあった」という言葉を皆さんは知っていますか?

ある日のことです。僕は女性の口から「ヒ・ミ・ツ」という言葉を聞きました。

 

今時トレンディドラマでも聞かないセリフです。

あぁまだこのご時世にいたのか。この難易度の高い言葉を平然と言ってのける事の出来る強者との邂逅に僕は武者震いが止まりませんでした。そして僕がこれを話題にしているという事は分かりますね、ひっかかっているからです。ひっかかっているからに他なりません。

 

つまり身の丈にあっていない「ヒ・ミ・ツ」との出逢いが僕を覚醒させました。

 

師「何を言っているんだ岩井くん!女性の秘密というのはいつだって己の心の何処かにひっかかり、いなしたくなるようなものだろう」

僕「違います先生、僕が言いたい事は、ヒミツがひっかかっているわけではない事が問題だという事です」

師「それは…………なるほど。つまり君が言いたい事は」

僕「お口汚しはよして下さい、私が。そうです、つまり何故あの女性はしたり顔でヒ・ミ・ツと言い放つ事ができたのか。という事にひっかかっているわけです。」

師「ヒミツという言葉ではなく、女性本人に何かひっかかっているという事だね。」

僕「はい、それに先生。ヒミツではなくヒ・ミ・ツです。これは大きな違いです。」

 

相手の好奇心の有無を読み取る能力の決定的な欠如の中から生まれた言葉の行き場は見当たらず、会話というのはキャッチボールだとするならば彼女は捕ったボールを傍で犬の散歩をしているご婦人の近くに放り、「どうしてそんな事をするんだ?」という僕の問いに、口角を上げて挑戦的な視線、無言(無視とは違う)。そしてポッケの中から取り出した新しいボールをこちらに放ってきました。

 

そんな新しいボールよりもご婦人の元に転がるボールが気になって仕様がない僕を他所に彼女は新たなボールをこちらに放ってきます。捕らない事には体に当たって痛いから捕るしかない。

 

まるで新手のプレイとでも言えるかのような会話に僕はとてつもなく高揚しました。面白く、貴重で愉快痛快。

 

もう一歩踏み込めば、そのヒ・ミ・ツの正体もすぐそこに差し出されている事をも簡単に匂わせてしまうようなやりとりの中に色気など存在しませんでした。あえてヒ・ミ・ツを秘密のままに。時のまにまに。

 

秘密のうま味は解き明かされる事にあるのでしょうか。

いいえ、うま味はいつだって言葉よりも更に内側にあるんですよね。

 

皆さんも秘密に想いを馳せていますか、あなたの秘密に誰かが想いを馳せていますか?

内側の秘密と外側の秘密があるとしたら、どちらをより魅力に感じますか?

 

僕のヒ・ミ・ツは常に外へ外へと。

 

女「ねえ、教えてよ」

僕「それはだから、ヒ・ミ・ツ」

女「良いじゃん、教えてよ、知りたいもの」

僕「聞いたら戻れないよ」

女「それでもいいの、私それが良いの」

僕「後悔するよ」

女「かもね」

僕「じゃあ後悔しないように先に悔いときなよ」

女「あー、やっちゃった。聞いちゃった。これで良い?」

僕「いいよ。いいの、ほんとに?」

女「………」

僕「僕のヒ・ミ・ツはね…」

女「……」

僕「実は僕ね」

女「…………」

僕「過去に漏らしてんだ、何回か」

女「ん?どういう事?」

僕「う・ん・ち」

女「…………え、えぇぇぇぇ、きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!あなたが、まさかあなたが隣町を騒がせてる現代に生まれた妖怪、その名も妖怪オールウェイズ脱糞お化けだったなんて!!!」

僕「フフ……ハハハハハ!!」

女「信じられないわ、私を騙してたなんて最低。

 

ペチン!!!

 

ブリリリ!!

(女、泣きながら去っていく)

 

男「また臭いものを出してしまった。」

通りすがりの外国人「Oh! It’s so brilliant!!」